TOP > 作り手と出会うTOP >祭り小物 目籠 榎本 幸雄さん
祭りといえば、はちまき姿で袢纏(はんてん)を身にまとい、足元には足袋や雪駄という、昔ながらの小粋な姿が思い浮かぶが、そんな祭り衣装に欠かせない小物のひとつに「目籠(めかご)」がある。 目籠とは、祭りのときに長財布を入れたり、折財布入れたり、手ぬぐいを入れたり、ケータイを入れたりする祭り衣装用の小物入れのことで、肩から紐で斜め掛けしたり、袢纏の内側に掛けたり、袢纏の上から掛けたりする。お祭り衣装の粋なアクセントとして、祭好きにとっては大切な小物となっているのだ。 |
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江東区 新木場にある建具などを作る工房の一角で、もくもくと目籠作りにはげむ職人 榎本氏。もちろん、大の祭好きだ。自作の木型や道具を駆使して、籐製の目籠を作り上げる。 素材となる籐は厳選したものを取り寄せている。籐が柵状にカットされたもので、幅はおよそ1.5〜2.0mm。例えば、長財布入れひとつ作るのに、延べ約26m程度の籐を使うという。「目籠の“口もと”の部分だけで、ふた尋(ひと尋は、大人が両腕を横に広げたときの長さで約150cm位)は使う。それ以外に籐を55cm×42本くらいかな」。1本1本を、丁寧に貼り合わせて21本の籐を作る。これがとても大変な作業で、集中力と根気がないとできないという。「まあ、籐の下準備で約3日、その後の組みで1.5日くらいかかるかな」。 一つの目籠を作り上げるのに、手間暇をかけて実に約5日近くかかるのだから、その価値もうなずける。「この編み目、6角形の枡になっている編み目が均等になるように編み上げるのが難しいんだ」。最後は、ニスでコーティングしてツヤツヤの目籠が完成する。 鮮やかな職人技で作り上げる榎本氏だが、意外なことに籠作りは独学で学んだという。「成人してる娘がいるんだけど、娘の方が手先が器用だからさ、籠作らせたら、俺よりうまいかもな(笑)」。 |
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榎本氏は、床の間や店舗のカウンターなどの高級特注品を扱う株式会社オイヌマの一角で作業をしている。このオイヌマの社長と榎本氏の出会いは“祭り”が関係していて、お祭りの時の隣の町会同士でお祭りの打ち合わせなどで顔を合わせるうちに意気投合したという。 祭り好き同士お互いに気が合い、今に至っているという。こんな偶然の出会いも、実は必然だったのかもと思わせるほど、両者の信頼関係は深く、榎本氏の作る美しい目籠も、そんな恵まれた環境があるからこそ、生まれるのかもしれない。
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